NEWS

お知らせ・展示会情報

2025.09.30

/ お役立ち情報

new

切粉トラブルを防ぐ!揺動切削による切粉処理

揺動切削とは工具に微小な振動(揺動切削)を与えながら加工を行う切削技術の一つです。従来の切削加工と異なり工具が一定方向に回転または直線運動するだけでなく、高周波の微細な揺れを加えることで、切粉の排出性や加工面の品質、工具寿命などを大幅に向上させることが可能になります。

揺動切削の原理と特徴

揺動切削では、主に工具側に縦方向(軸方向)または回転方向への微細な振動を付加します。
この振動は通常、超音波(20KHz以上)や低周波の制御されたメカニカルな振動によって発生させます。切削中に工具がわずかに材料から離れる瞬間が生まれることで、切粉が分断されやすくなり、工具と被削材との間の摩擦が減少します。その結果以下のような効果が得られます。

・切粉の排出性の向上
長くつながる切粉が短く分断され切削中のトラブルを防ぎます。
・工具寿命の延長
摩耗や熱の蓄積が抑えられ摩耗が遅くなります。
・加工面の向上
びびりの抑制やより滑らかな表面の実現が可能です。
・難削材への対応力
チタン合金・インコネルなど加工しにくい材料にも有効。

揺動切削の適用例と装置構成

揺動切削は航空宇宙・自動車・医療機器など、高精度な加工が求められる分野で活用されています。特にチタンや超硬合金などの難削材を扱う場合に、その有効性が顕著です。

装置構成としては、振動を発生させる機構、例えば超音波振動子やアクチュエータをスピンドルや工具ホルダに組み込み、数ミクロン~数十ミクロンの振幅で高周波振動を制御します。近年ではNC(数値制御)装置と連携した制御揺動切削も登場しており、振動の方向やタイミングを加工条件に合わせて最適化出来るようになっています。
日本のNC自動旋盤メーカーの中でも、主軸固定型CNC自動旋盤とスイス型CNC自動旋盤の両方をラインナップしているスター精密ツガミシチズンマシナリーは、それぞれの強みを生かして製品化しております。

揺動切削技術の今後の展望

揺動切削技術は、スマートマシンや自動化・無人化の流れの中で、加工効率と品質を両立できる技術として注目を集めています。さらにAIによる振動制御の最適化や、切削音の分析を通じたリアルタイムフィードバックなど、スマート加工技術との融合が進めばさらなる進化が期待されます。

以上のように、揺動切削は今後の高精度・高効率加工を支える重要な技術の一つとして位置付けられます。

まとめ

今回の記事では切粉がおこすトラブルに対する様々な対応策について「工具編」、「クーラント編」、「揺動切粉編」をご紹介させて頂きました。古くからある切粉対策から最新技術のご紹介でしたが、それ以外にも最適工具のご提案、切削条件の見直し、センシングツールによるAIモニタリング、現状とは違う加工法案による改善方法もございます。お客様の切粉に対するお悩みを解決し、高品質・高生産性への取り組みのパートナーとして当社にお声がけ頂けると幸いです。

工具側の切粉処理方法はこちらから
クーラント側の切粉処理方法はこちらから

著者:株式会社共和工機 第一営業部 課長代理 清水洋平
2001年入社し本社勤務一筋、地域密着営業で25年目を迎えました。
おかげさまで製造業に関する補助金に数多く携わらせていただきました。

「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「新事業進出補助金」「中小企業省力化補助金」「中小企業成長加速化補助金」「大規模成長投資補助金」「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」「IT導入補助金」等、ご検討の際は全力でサポートさせて頂きますので気軽にお声がけください!