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メリットデメリットを知って産業用ロボット導入への成功へ繋げる
現在、人口減少や少子高齢化に伴い、人手不足が大きな問題となっています。人手不足を解決するため、現在製造ラインに自動化システムを導入し省人化対策を進める企業が増えています。
本記事では、自動化のひとつの例として「産業用ロボット」を取り上げご紹介いたします。
メリットとデメリットの両面から詳しく解説しているため、今後のロボット導入の参考になさってください。
【目次】
産業用ロボットとは
産業用ロボットとは、主に工場などの製造現場において溶接、塗装、組み立て、搬送、加工などの人間が行っている作業を代わりに行う、プログラミングされた装置のことを指します。
人間に似た動きをするロボット、人と協調しながら動く協働ロボットなど多様なタイプが世界中で採用されており稼働工場の自動化に必要不可欠な存在となっています。
産業用ロボットの種類
産業用ロボットは、自動車や精密機器、食品、医療、物流など様々な分野で活躍されており、作業用途や設置環境に合わせて作られています。
ここでは、主に使用される産業用ロボットの種類をご紹介いたします。
垂直多関節ロボット
垂直多関節ロボットは、人間の腕や肩のような形状でロボットアームと呼ばれています。
動きの自由度が高く、3次元空間での作業が可能であるという特徴があります。
垂直多関節ロボットは現在最も多く活用されている産業用ロボットです。
水平多関節ロボット(スカラロボット)
水平多関節ロボットは、その名の通り水平方向の動きに特化したロボットです。
水平方向に動く3つの回転軸があり、さらにアームの先端が上下に動く構造となっています。
特徴として、水平方向の動作が早く、構造がシンプルなため省スペースでの設置が可能。
主に組み立てや整列、圧入を目的に活用されることが多いロボットです。
パラレルリンクロボット
パラレルリンクロボットとは、ロボットの腕となるリンク(軸)が縦に複数並び、各リンクが同期しながら動くロボットです。
産業用ロボットの代表格とも言えるロボットアームよりも繊細な動きを得意としています。さらに、外側からの圧力に対する変形に強く、軽量な可動部により高速かつ高精度な動作が実現可能です。
直交ロボット
直交ロボットは、2~3つの直交する軸で構成されており、3方向に対する直線的な動きに特化したロボットです。
直線的な往復運動しかできないため垂直多関節ロボットやパラレルリンクロボットのような複雑な動きはできませんが、その分動きのブレが少なく高精度な作業での活躍が期待できます。
産業用ロボット導入のメリット
以上のように産業用ロボットには様々な種類があり、それぞれ特徴が異なりますが、いずれも共通して次のようなメリットがあります。
人手不足解消
現在の日本は、人口減少と少子高齢化により、どの企業でも深刻な人手不足に悩まされています。この問題を解決してくれるのが産業用ロボットです。
人間の代わりに誰もができるような単純作業を産業用ロボットに任せることで、人間が行うべき管理業務や今まで手の届かなかった作業に人員を配置することができます。
生産効率の向上
普段私たちが働く中で当たり前にある休憩時間ですが、産業用ロボットは休憩が不要なだけでなく、24時間365日稼働させることも可能です。
人間とは違い作業スピードにバラつきがなく、計画通りに生産をすることができます。
ロボットの種類により、人間では不可能な高精度かつ細かな作業や重量物の搬送作業も早い動きで可能なため、より生産性を高めます。
品質の安定
産業用ロボットは、プログラミングされた作業を高精度かつ均一に行うため、人間の手で作業するよりも安定した品質を追求することができます。人間の場合、人によって技量が異なり、その日の体調や集中力によって作業の精度にバラつきが出てしまうことが多く、安定性の面ではあまり期待ができません。
人間が作業するよりも、不良品や作業ミスを極端に減らすことができます。
産業用ロボットのデメリット
産業用ロボットには様々なメリットがあるのに対し、残念ながら以下のようなデメリットがあるのも事実です。
産業用ロボット導入を検討されている方は、メリットだけでなく、デメリットもあらかじめ理解しておく必要があります。
運用やメンテナンスに専門知識が必要
産業用ロボットは業務の自動化・省人化を実現することができますが、ロボット自体の管理や運用は人間が行う必要があります。
そのため、ロボットの操作知識や管理方法に詳しい人材がいなければ、効果的にロボットを運用することが難しくなってきます。
決められた作業しかできない
産業用ロボットは作業内容がすべてプログラミングされた状態で稼働します。人間は作業中でも変化を見つけ、不具合を感じ取ることができるためその場での応用を利かせ対処することが可能です。
一方、産業用ロボットではプログラミングされた通りにしか動かないため、予期せぬ事態が発生した場合の処置が難しく対応能力には限界があります。
導入コストが高い
産業用ロボット導入時、イニシャルコスト(初期費用)が数百万円から数千万円かかります。その上、精密機器に値するため、定期的なメンテナンスが必要不可欠となります。
さらに、周辺機器や安全対策も必須となり、イニシャルコスト(初期費用)だけでなくランニングコスト(維持費用)もかかります。
産業用ロボットのデメリット解決のための取組み
様々なデメリットがあるものの、近年ではデメリットを解決するための取り組みが各種行われています。
以下のような取り組みを活用することで産業用ロボット導入の成功に繋げることが可能です。
AI搭載の産業用ロボットの開発
産業用ロボットは、日々の業務を人間の代わりに行ってくれるため、業務の自動化・省人化を実現することが可能です。
しかし、管理運用する人間に対し、ロボットシステムの教育や定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
ロボットの運用やプログラムに詳しい人材が社内にいない場合、ロボットシステムの維持や管理が困難となり、効果的な運用ができなくなってしまいます。
また、ロボット操作の教育やメンテナンスに大幅な時間を取られてしまい、本来の目的である人手不足の解消や生産効率の向上は見込めない状況になってしまいます。
そんな課題を解決してくれるのが、AIを搭載した産業用ロボットです。AIを搭載することにより、人間がわざわざ教育をしなくても自ら情報を分析・学習するため、教育の手間が省け、より効率よく生産性を高めることができます。
各種補助金の活用
産業用ロボットの導入には非常に多くのコストがかかり、特に中小企業にとっては大きな負担になるため最も頭を悩ませるポイントとなります。
コストの面で産業用ロボットの導入を先延ばしする企業でも、補助金を活用すれば可能な限り低いコストで導入することができます。
補助金とは、事業者に対して特定の目的を果たすための費用の一部を支援する制度です。補助金の中でも、ものづくり補助金・事業再構築補助金・IT導入補助金・中小企業省力化投資補助金などいくつか種類があります。補助金の種類によって支援される限度額や内容が異なるため、目的に合った補助金を選択することが重要です。
補助金はどの企業でも使えるという訳ではなく、事業計画や財務状況など一定の基準を満たし、支援事業者へ申請後に採択される必要があります。また、申請から実際に補助金を受け取れるまで数ヶ月かかる場合が多いので、事業計画を立てる際は注意が必要です。申請に対してコンサルティング会社を活用することでスムーズな申請と採択率アップを見込めます。
産業用ロボットの導入を失敗しないために
産業用ロボットの導入に関して、「大きな費用をかけたのに思うように生産効率が伸びなかった…」、「ロボットを使いこなすことができず置物になっている…」など、世の中では失敗してしまう事例もあります。しかし、以下のポイントを押さえるだけで、産業用ロボットを導入しても失敗することなく、期待以上の効果が見込めます。
導入の目的を明確化する
産業用ロボットを導入するにあたり、まずは何を目的として自動化を行いたいか、という点が重要です。目的によって、使用するロボットの種類やメーカー、機種の選定が異なるため、ロボットシステムの構成を考慮する必要があります。
導入の目的が明確になっていない場合、ロボット選定の時点で計画がブレてしまう恐れがあるため、どのようなロボットを使用し、何を目的としたシステムを必要としているのか、目的とその効果を明確化することが重要です。
適切なロボット選定とシステム構成
目的を明確化したら、次はその目的に合ったロボットを選定することも成功のポイントです。
産業用ロボットは前述したとおり4つ以上の種類があり、動きの自由度や軸構成などそれぞれ大きな違いがあります。例えば、組み立てや梱包が目的なら垂直多関節ロボット、ネジ締め、箱詰めが目的なら水平多関節ロボットを導入するなど、作業内容と目的を合致させて選定することが重要です。また、他の設備と連携して行うことでさらなる生産効率の向上が見込めるため、システム前後の装置も含めた全体構成に注目すべきです。
事前検証を十分に行う
ロボットの動き方や設置スペース、動作時間などが想定通りかを検証・確認します。
事前にシミュレーションを行うことで実際に産業用ロボットを導入した運用イメージがしやすく、検証を重ねてシステムの構造を練ることができます。
事前検証を怠った場合、計画通りにいかないばかりか「大きな費用をかけたのに失敗してしまった」となるため注意が必要です。
まとめ
人手不足が問題となる現代で、産業用ロボットは製造業の現場で欠かせない存在となっています。溶接、塗装、組み立て、搬送、加工など、人間が行っている作業を代わりに行ってくれる産業用ロボットは、製造ラインの自動化を実現させてくれます。
人手不足の解消だけでなく、生産効率の向上や品質の安定性も期待でき、様々なメリットがあります。逆に、決められた作業しかできないことやコストが高いことなど、精密機器ならではのデメリットもあるため、導入に踏み切るには多少の抵抗があるかもしれません。
しかし、導入の目的を明確化し、事前検証をしながら適切なロボットを選定することで、今抱えている課題の解決に繋がります。AIの搭載や補助金など、デメリットを少しでも軽減してくれる取り組みもあるので、本記事を読んで少しでも興味を持たれた方は、産業用ロボットの導入をぜひご検討・ご相談ください。
上記以外にも、高所・高熱・粉塵など危険な作業環境に特化したロボット、飲食店の配膳ロボット、人間の言葉を理解して会話するAI介護ロボット、自宅のお掃除ロボットなど多種多様なロボットが活躍しておりそのフィールドも年々広がっております。
将来、ヒト(ネコ)型ロボットと友達になりどこでもドアで世界を旅する夢も叶うといいですね。
著者情報:㈱共和工機 第五営業部 佐々木寛太
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