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2026.01.14

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高速主軸マシニングセンターでの細穴加工

昔の機械は主軸のトルクが大きいマシニングセンターが多く剛性のある機械構成が主でした。しかし昨今のマシニングセンターに使用される主軸は高速回転でもトルクが大きいモーターが開発された事により機械加工の幅が大きく広がりました。

主軸回転数が10,000回転を超える機械が標準となってきた今では工具の進歩もあり加工方法も昔とは大きく変化してきています。
高速主軸マシニングセンターの普及とNC制御装置の進化により精密加工のレベルが格段に上がり、微細加工の分野の市場が大きく広がりました。
近年では100,000回転を超える高速主軸マシニングセンターも販売されています。

参考機械:https://www.sodick.co.jp/product/tool/machining/item.php?id=az275nano

高速主軸マシニングセンターにおける分野で大きく変化した1つが小径ドリルの加工になります。今回は小径ドリル加工における注意点を3つご紹介したいと思います。

小径ドリル加工の注意点

先に述べた通り高速主軸マシニングセンターの開発により微細加工、小径ドリル加工の分野が大きく広がったのは間違いありませんが、加工において機械だけ良くても高精度な加工ができるわけではありません。

今回は小径ドリル加工において、お悩み解決のため参考にしていただきたいポイントをまとめました。

小径ドリルの振れ精度

小径穴加工ではドリル自体の剛性が低く、振れ(ぶれ)が起きやすいため、工具破損や位置のズレが生じる可能性が高まります。それを防ぐには、以下の点が重要になります。

小径ドリルの振れを抑えるためのポイント

主軸の振れ精度の確認  工作機械自体の精度が不足していると、高性能なツールホルダを使用しても十分な効果が得られません。

ツールホルダの選定  ドリルの保持力が高く、振れを最小限に抑えるツールホルダを選ぶ必要があります。要求精度が高い場合には、取付精度や保持剛性に優れたチャックの検討が求められます。

参考 小径穴加工に適したホルダ

ツールホルダ種類 特徴 メリット
焼きばめチャック ホルダを加熱・膨張させてドリルを保持 高剛性・高振れ精度を実現
油圧チャック 油圧により均一に保持力を伝達 振れ精度が高く、工具交換が容易

 

参考URL
焼きばめチャックhttps://www.big-daishowa.co.jp/products/product_detail.cgi?_rid=14
油圧チャックhttps://www.big-daishowa.co.jp/products/product_detail.cgi?_rid=6
振れ調整機能付https://www.big-daishowa.co.jp/products/product_detail.cgi?_rid=9

小径ドリルの回転数

小径穴加工では高速回転が有効と言われている理由は、加工の安定性と仕上がりの精度に関係があります。高速回転で加工を行うと、工具の刃先が被削材と当たる頻度が増えるため、切削の力が均一に働きます。その結果、バリが少なく、表面が滑らかになります。また、小径工具は細かいため、低速回転だと加工が遅く、振動が生じやすくなることがありますが、高速回転では振動を抑えることができます。

小径ドリルにおけるクーラント

機械加工を行う場合、クーラントを用いる事が多いと思いますが、ここでは主要なクーラントの種類と、小径ドリル加工に適したセミドライをご紹介したいと思います。

・油性クーラント
油性切削油は金属加工の際に工具と素材の間の摩擦を軽減し、潤滑性を提供するために使われます。主に低速での加工や、重切削に適していると言われています。
潤滑性が高いので、工具の長寿命化や、仕上がり面をきれいに保つのに役立ちます。しかし引火性が高く、ミストが発生する為、集塵機を設置しないと工場内の環境が悪くなるデメリットもあります。

・水溶性クーラント
水を主成分としているため、切削中の摩擦熱を効率的に吸収する為、冷却性に優れています。水を利用しているため、引火のリスクが低く安全性が高いと言われています。
デメリットとしては時間が経つとバクテリアが繁殖して性能が低下、悪臭が出る事がありますが、適切な管理や防腐剤の追加で対策可能と言われています。

・セミドライ
上記2種のクーラントの他にクーラントを必要としないドライ加工もありますが近年環境を考慮しセミドライ加工も多くなってきています。
セミドライも市場に出た当初は植物性である油性タイプしか存在せず、冷却効果を得られる事ができない事が難点でした。しかし現在では水溶性のセミドライが発売された為、主流は水溶性のセミドライとなっています。

特に小径穴加工においてはセミドライを用いた加工が効果的と言われています。
1mm以下のような極小径のドリル加工では折損し易いので切削速度を上げられませんが、高い潤滑性能が得られるセミドライ加工では容易に加工できます。
ミストエアがクーラント加工では到達できないドリル先端の微細隙間まで潤滑ミストを飛ばす事ができるからです。
イメージとしては高速回転をしている小径ドリルの溝にミストエアを飛ばす事で竜巻のような現象が発生し、ミストを刃先まで届ける事が出来ます。
そのほか切屑をドリル溝より排出することも大きなメリットとなります。

クーラント方式別のメリット・デメリット比較表

加工方式 メリット デメリット
油性 ・潤滑性が高く、工具寿命が延びる・高負荷・高温加工に強い・仕上げ面が美しい ・廃液処理が困難で環境負荷が高い・火災リスクあり・作業環境が汚れやすい
水溶性 ・冷却性が高く、発熱抑制に優れる・環境負荷が低く、廃液処理が容易・コストが比較的安価 ・潤滑性が油性に劣る・腐敗や錆のリスクあり・濃度管理が必要
セミドライ ・クーラント使用量が少なく環境負荷が低い・作業環境が清潔<・廃液処理がほぼ不要 ・冷却・潤滑性能が限定的・工具寿命が短くなる場合あり・高負荷加工には不向き

参考URL

セミドライ装置https://www.fuji-bc.com/mql/selection/

まとめ

今回は高速主軸マシニングセンターを用いて加工される代表的な加工例として小径ドリル加工の注意点を3つ紹介させていただきました。
小径穴加工の需要は年々高まる中で高速主軸のマシニングセンターの導入は加工効率も良くなり省エネ効果も期待できるため必須だと思います。
しかし昨今の工作機械の価格高騰は著しく、1台の設備投資でも大きな負担になるかと思います。

当社は今保有されている設備の中でもやれるべきことをお客様と共に課題解決に取り組んでいますので、お困りごとありましたら是非弊社にお問い合わせください。

 

著者:株式会社共和工機 第一営業部 部長 佐々木 正也

商業高校を卒業し1999年に入社。在学中に全経簿記1級、全商簿記1級、全経工業簿記1級取得。

本社採用で4年勤務、その後名古屋支店で9年営業活動後、再び本社勤務。

設備、工具だけでなくIT商品の提案にも力をいれています。