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付加製造とは【工作機械の加工方法#3】
工作機械とは、金属や木材、石材などを目的の形状に加工するための機械を指します。工作機械といってもその方法は様々であり、自社の目的にあった加工を行うことのできる機械を選ぶ必要があります。
今回は、その工作機械で実現する加工方法の中でも「付加製造」についてご紹介します。
工作機械の加工方法の一つ「付加製造」とは
付加製造は、何もないところから材料の金属や樹脂を少しずつ積み重ね立体形状を作る加工方法です。付加製造ができる代表的な装置は3Dプリンターで、別名additive manufacturing(アディティブ・マニュファクチュアリング)と呼ばれることもあります。
切削加工では切削工具が届く範囲の加工のみできますが、付加製造は一から材料を積み重ねるため複雑な内部の空洞や部品の造形ができるのが特徴です。また、切削工具と比べて切削くずなどをだすことなく必要な分の材料のみで作成が可能なので材料のロスを最小限に抑えることができます。金型や工具が不要で3Dデータがあれば造形でき、専門的な知識がなくても自動的に造形することができるため3Dプリンターがあればどこでも生産が可能となります。生産するのに必要なのは材料とデータのみなので金型や大量の材料を管理する必要がなく、手間の削減にもなります。
付加製造について(7種類の加工方法)
付加製造にはASTM(米国試験材料協会)が定めた7種類の方法があります。
本項では7種類の加工方法についてご紹介します。
結合剤噴射法
敷き詰められた粉末状の材料にバインダーと呼ばれる液体の接着剤を噴射し造形する方法です。
主に材料は樹脂や金属が用いられますが、用途に合わせて石膏や砂が使われることがあります。
-造形速度が速く、生産性が高いです。また複雑な形を造形することができ、着色することも可能です。
-強度が比較的低いため、強度を必要とする部品の製造には向いていません。
材料噴射法
液体状の材料をインクのように吹き付け、加熱、冷却、紫外線を照射することで造形する方法です。
―異なる材料を混合して使用することができるので、造形するものの硬度を調整することが可能です。また高精度な造形ができ、表面の積層痕が目立たない仕上りになります。
-耐久性が低いため長期使用する物には向いていません。また材料によっては太陽の光によって劣化や変形する場合もあります。
材料押し出し法
熱で溶融した材料をノズルから押し出し、冷却することで造形する方法です。
3Dプリンターの中でこの方法が使用されていることが多いです。
―シンプルな構造で価格が安く試作品の造形に用いられます。
―融解した材料を積層させて造形するため積層痕と呼ばれる痕ができてしまいます。また積層痕の沿って割れやすい傾向があるので、強度の高い材料を選ぶことが重要です。
指向性エネルギー堆積法
ノズルから金属の粉末を照射し、レーザーで溶かし積層したり、ワイヤーを溶かして造形する方法です。
-造形のスピードが速いため小さいものから大きいものまで作成が可能です。また異なる材料を組み合わせることで耐久性の高い製造物の作成も可能です。
―表面の精度が低いため切削加工は必要とされます。また造形できる形状が限られます。
粉末床溶融法
敷き詰められた粉末状の材料に対して、レーザーを当てて材料を溶かし固めることで造形する方法です。
―金属が使用できるため耐久性や精度が高く、優れた表面のものを造形することができます。また複雑で微細な形状を高精度に造形することも可能です。
―レーザーを繰り返し照射しながら作成するためスピードが遅く、装置が大掛かりでコストがかかります。また材料が金属粉末のため粉塵爆発の危険性があります。
シート積層法
切断したプラスチックや紙を溶接や接着剤で結合する方法です。
―他の方法ではあまりできない材料を用いて造形することができます。また比較的安価で様々な材料を使用できるため、コストがあまりかかりません。
―寸法精度はわずかに低く、3Dプリンターのメリットである空洞の作成ができないことがあります。また切断された材料は再利用できないため形状によっては材料のロスが多くなります。
液槽光重合法
液体状の材料をタンクに貯め、紫外線やレーザーを照射して硬化する方法です。
3Dプリンターの加工の中で一番最初に実用化されました。
―高精度で他の造形方法に比べ積層痕が残りにくく、なめらかな表面になります。そのため透明度の高い造形物を作成することが可能です。
―材料が液体状で固まると造形物の重量が重くなってしまうため大きい造形物には向いていません。また光によって固まってしまうため保管方法を徹底する必要があります。
今回のまとめ
この記事は前回に引き続き工作機械の加工方法の一つ「付加製造」についてご紹介しました。
付加製造は、他の加工方法に比べ簡単に造形することができます。最近では、家庭用の3Dプリンターなど身近に感じられるものも多くなりました。工作機械は一見難しいと感じますが、意外と身近に感じられるものもあります。
今回ご紹介した付加製造のほかにも多くの加工方法があり、材料からいらない部分を取り除く除去加工、圧力や熱を加えることで形を変える成形方法などがあります。
目的にあった加工方法を探し、選定することが重要となります。
除去加工についてはこちらから→除去加工とは【工作機械の加工方法#1】
成形加工についてはこちらから→成形加工とは【工作機械の加工方法#2】
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営業業務部 横山